化繊が臭いの元に?

昨日お伺いしたお客様との会話の中で、まだ新入社員だったころ1着のスーツを着まわしていたら同じ会社の方に「スーツが臭すぎる」と指摘を受けたことをお話しくださいました。

はじめはスーツのことなどみんな知りませんからね。

その後も数着のスーツのうち1着に臭いがあることがあったそうです。

臭いの原因を調べて見ると裏地がポリエステル製だったとのこと。

そうなんです、ポリエステルなどの化繊は臭いの原因になることが多いんです。

 

ポリエステルの臭いの原因

1. 化学薬品の残留
• ポリエステルは石油由来の合成繊維で、製造過程で使われる染料や柔軟剤、定着剤などの化学薬品が残っていると、独特の化学臭が発生します。
• 特に安価な裏地素材では、洗浄や仕上げが不十分なことがあります。
2. 熱による揮発
• ポリエステルは熱に弱く、熱が加わると揮発性物質が臭いとして出やすいです。
• アイロンや着用時の体温・湿気で臭いが強くなることがあります。
3. 静電気と皮脂の反応
• ポリエステルは静電気を帯びやすく、皮脂や汗と反応して臭いを吸着・保持しやすい性質があります。
• 特に背中や脇など、汗がこもりやすい部分の裏地に使うと、臭いが蓄積されやすいです。

 

ポリエステルやポリウレタンは量販店など安い衣類によく使用されていますが、スポーツウェアなどはほとんど化繊ですよね。

機能面では優れていますが、皮脂や菌の臭いを吸着しやすく雑菌が繁殖し、洗っても残りやすいため衛生面では最適とは言われていません。

Tシャツのプリント部分なども同じです。

また静電気が発生するので敏感肌の方や自律神経にもよくありません。

 

先ほどのお客様ですが、裏地がキュプラのスーツには臭いがなかったそうです。

キュプラとはご存じのように、綿の種のまわりのうぶ毛から作られる再生繊維などで自然由来のものです。

 

キュプラのメリット
• 吸湿性・放湿性が高い:汗を吸って、すぐに外へ逃がす。蒸れにくく、臭いもこもらない。
• 静電気が起きにくい:ホコリや臭いの粒子を寄せつけない。
• 肌触りがなめらか:袖通しが良く、着ていてストレスがない。
• 環境にもやさしい:植物由来で、生分解性もある。

 

ポリエステルに比べ耐久性には劣るものの、高級素材らしくメリットが多いんですね。

 

化繊は現代にはなくてはならないものですが、体にまとうものは肌に優しい天然素材を選びたいところ。

ただ同じウール100%でも上質な生地と安価な生地では違いが出ることもあります。

高級ウールは、防縮・防臭・防虫などの加工が丁寧に施されていますが、安価なウールは加工が簡略化されていることが多く、汗や皮脂が残留しやすいこともあります。

また高級品は、織りが均一で密度が高く、通気性と保温性のバランスが良いですが、安価なものは織りムラや粗さがあり、熱がこもりやすく、臭いがこもる原因にも。

天然素材であればケアの仕方で影響が出やすいかもしれません。

 

 

素材選びは「見た目」だけでなく「着る人の時間」に寄り添うものでありたいと思います。

スーツはただの衣服ではなく、日々の緊張や挑戦を共にする“相棒”のような存在。

その裏地に、肌に、そして空気に、どんな質感を選ぶかは、着る人の心地よさや自信にもつながります。

安価な素材が悪いわけではありません。

ただ、長く着るもの、大切な場面で身につけるものには、素材の声に耳を傾けてみることも、ひとつの成熟なのかもしれません。

「臭い」や「違和感」は、身体が発する小さなサイン。

それを見逃さず、素材の哲学に触れることで、装いはもっと深く、もっと自由になるはずです。