とあるTV番組でアップル創業者のスティーブ・ジョブズについて、「スティーブ・ジョブズが毎日同じ服を着ていたのは、選択のエネルギーを節約するため」と答えていたのを見ました。
スティーブ・ジョブズといえば、常に「黒のタートルネック、リーバイス501、ニューバランスのスニーカー」のイメージですよね。
確かにそれは一部真実で彼自身、「毎日服を選ぶことで、“意思決定”のエネルギーを使いたくなかった。もっと重要なことに脳の力を使いたかったんだ。」という言葉を残しています。
これは心理学で言う【意思決定の疲労】を避ける方法で、バラク・オバマ元大統領も同様の理由でスーツの色を限定していたことが知られています。
しかし、それはあくまで大衆向けに話した表層の話。
ジョブズのこの“制服”には、もっと深い背景があることは意外に知られていないようです。
その本当の理由を少し書いてみようと思います。
■ 背景には「日本文化」と「イッセイミヤケ」があった
ジョブズは1980年代初頭にソニーの本社(東京)を訪れた際、社員が会社の制服を着ていることに感銘を受けました。
全員が同じ制服・ベストを着用し、仲間意識や帰属感を象徴していたのです。
帰国したジョブズは、自社Appleにも制服を導入しようとしますが社内から猛反発を受けます。
その後、「せめて自分だけでも」という思いで、自分専用の制服として日本のデザイナー三宅一生に依頼し、黒のタートルネックを数十枚~オーダーメイドで製作してもらいます。
これが、彼の“トレードマーク”となるのです。
ジョブズはこの服について、「この服は僕自身のアイデンティティであり、Appleの一部でもある」と語っています。
彼の哲学・美学への執念を感じることができます。
■ 自分を「ブランド化」する戦略
ジョブズは「革新の象徴」として、外見からも人々にインパクトを与える必要があると感じていました。
スーツでもない、カジュアルすぎない、でも一貫性のあるスタイル、それが彼の「自分というブランドの制服化」だったのです。
黒タートル × デニム × スニーカー。
この一貫した見た目が、彼のブレない思想と革新性を無言で語っていたのです。
最近では時価総額世界一にもなったこともある世界トップ企業のひとつエヌビディアCEOのジェンスン・フアン氏も取り入れていて、彼がいつも黒い革ジャンを着ているのもジョブズの考えに感銘を受け、まったく同じ考えの戦略からくるものです。
■ ファッションとは“内面の延長”
ジョブズは決して「服に無頓着」だったわけではありません。
むしろ「服の力」を熟知し、それを戦略的に使った稀有な人物です。
つまり、彼は服を捨てたのではなく、むしろ服の力を最大限活かしていたのです。
ファッションとは、単なる見た目ではありません。
ジョブズが証明したのは、「服は内面を可視化する道具であり、自分というブランドを創り上げる戦略」だということ。
人と違う格好をして目立つためではなく、自分の考えや信念、仕事のスタンスを服で語る──それこそが本当の着こなしです。
では、私たちはスティーブ・ジョブズのように毎日タートルネックを着るべきでしょうか?
答えは“NO”だと思います。
私たちが現代社会で“自分を信頼してもらうための最も強力な装いはスーツです。
ビジネスの現場で、面接で、人と初めて会うとき。
スーツをまとった瞬間に、あなたは「責任」「誠実さ」「品格」を無言で伝えることができる。
それは、自己紹介よりも早く、声よりも先に、あなたの“人となり”を語ってくれる服の力。
芸能人だったら、個性的なメガネや派手なスーツを着るという、覚えてもらうためのイメージ戦略をとる人も多いですが、ビジネスマンであれば「派手な人」「奇抜な人」と警戒されるだけでしょう(笑)
スティーブ・ジョブズは、自分の哲学を一貫した装いで伝えました。
現代では周りを見ても服装の簡素化の影響もあり、スーツを着こなしている人が本当に少ない。
だからこそチャンスであり、周りと差別化することで、自分をイメージづけることができる。
成功者がTPOに応じた着こなしをし、上質なスーツにこだわるのは、深層ではジョブズ氏と同じような考えを持っているから。
皆様はスーツという“戦闘服”を通じて、どんな未来を見せていますか?