感謝

心の奥に静かに残る、深い感謝の出来事がありました。

それはお客様を通して、「思いやり」と「誠実さ」という言葉の意味をあらためて考えさせられたことです。

ご来店の当初から、いつもお気遣いくださり、まるで空気まで和らげるような穏やかな笑顔を絶やさないお客様。

仕立てたスーツを本当に気に入って大切に着てくださり、そのたびに「また次もお願いしたい」と笑顔で話してくださる――

そんなお姿に、こちらが励まされております。

 

最近、別のお客様からご紹介いただいた有名なアメリカの経営者について書かれた本があります。

—己の利益のために人を犠牲にし、嘘を重ね、失敗の責任を人のせいにすることで築かれた成功—

しかし、そのような生き方は遅かれ早かれいずれ暴かれ崩れていくものです。

お客様のように誠実に、正直に生きる方と関わり合いたい。

そして自分自身も、そんな生き方をしていきたいと感じました。

 

 

スーツとは、ただ身を包む布ではなく、その人の誠実さや生き方を映すものだと感じます。

どんなに小さな場面でも、誠実に、丁寧に向き合うこと。

その積み重ねこそが、人の印象を形づくり、周囲に静かな信頼を生むのだと思います。

この仕事をしていて本当によかったと、心から思いました。

感謝の気持ちを忘れず、これからも誠実な一着をお届けしてまいります。

A/W生地続々

A/Wのバンチが届きました。

やはり私たちが見て目を引くのが素材感のあるもの。

この世界の人間は、どのような仕上がりになるか雰囲気になるのかがすぐ分かるので、大体いいなと思った生地はみんな同じ考えですぐ売り切れますね。

今回は秋冬。

まずはWHIPCORD【ウィップコード】

鞭縄の意味を持つWHIPCORDは梳毛強撚糸を使用した綾織を浮き立たせた織物。

乗馬服やスポーツ用パンツ、軍服にも使われていただけあり丈夫。

霜降りの糸を使うものがカバートです。

 

4PLY VINTAGE TWEED【フォープライ ヴィンテージ ツイード】

秋冬用の4PLY。

紡毛生地と相性が良く、フランネルやツイードと組み合わせることも多く使い勝手抜群。

 

SMOTH SAXONY【スムース サキソニー】

名前から見て柔らかそうなイメージですが、目付は310gありなめらかでありながらコシも感じます。

フランネルよりウーステッドを若干毛羽立たせた印象なので、使いやすくかつ秋冬感も感じられます。


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他にもまだありますが、これらの生地は見るだけでも質感を感じ取れるかと思います。

秋からは特にオシャレを楽しめる時期。

この素材感が大切なんです。

スーツはもちろん、ジャケットパンツ単品でもOK。

ニットと合わせても落ち着いた大人の印象。

A/Wコットン素材との相性もいいですね。

 

耐久性があるものが多いので長く使えますし、いくつか揃えておけばどんな着こなしにもマッチしてくれますよ。

 

 

 

“Summer”真っただ中

早ければ明日からお盆休みの方もいらっしゃると思います。

当店は特に決まったお盆休みはありませんのでご用の方はご連絡いただければと思います。

 

 

先日買い出しと取引先に寄った際にJR大阪駅のJPタワーにできたKITTE大阪に行ってきました。

基本新しい駅ビルなどの施設ができても似たり寄ったりのお店が入ることが多いので特に興味はなかったのですが、KITTE大阪はアンテナショップが多く面白かったですね。

昔豊岡鞄が欲しくて実際に見てみたいと色々調べていたのですがとにかくお店がない。

関西だと空港のゲート内のみだったので機会がなかったのですがその豊岡鞄も出店されていました。

他にもスペシャリティコーヒーのコーヒースタンドもあったのでたまに寄るかもしれません。

 

さて気軽な格好での外出でしたが涼しく涼し気に定番のリネン混シャツとホワイトパンツです。

リネンパンツを休ませ中だったので綿パンのホワイトパンツでしたが薄手のコットンパンツも涼しいので快適でした。

夏は周りを見渡してもTシャツ姿の男性が多いですがTシャツの生地は厚みがありますし熱がこもる感じが個人的に苦手であまり着ません。

ニット編みのポロシャツは好きなのですが。

やはりフロント釦間も風が通り生地の種類も多く通気性の高さが魅力的なシャツを選んでしまいますね。。


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そういえば最近「ハーフパンツのオヤジはダサい」と書いていた記事を見ましたが・・・いやいやダサくないです。

着こなしの問題でしょう。

トップスの合わせ方だったりサイズ感やバランスが悪いだけでハーフパンツを悪者にしないでほしいですね(笑)

ちなみに白のハーフパンツはかなりおすすめです。

 

 

 

 

 

8/1~ オーダーシャツ価格改定 & 8/2~ V.I.P. Fair

毎度、格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。

先日ブログでご案内した通り、明日24年8月1日よりオーダーシャツの価格改定が行われます。

 

【オーダーシャツ価格改定】

●改定価格  :  一律¥2,200 の値上げ   ※white & blue等一部の商品は据え置き

 

●対象品目  :  オーダーシャツ・シャツジャケット・サファリジャケットetc

 

●改定時期  :  2024年8月1日受注分より

 

 

 

 

また、明後日8月2日より“V.I.P Fair”が開催されます。

 

V.I.P Fair

●開催内容 :パターンオーダーシャツ(オーバーシャツ含む)  ¥3.000引き

 

● 開催時期 :2024年8月2日(金)~2024年8月18日(日)受付分

 

 

 

 

ご不明な点がございましたらお気軽にご連絡ください。

 

値上がりが続いている昨今ですが、少しでもお求めやすい価格でオーダーできます“V.I.P Fair”をぜひご活用くださいませ。

 

 

 

服は心を救えるか

先日インターネットに掲載されていたニュース記事を読んでふと思うことがありました。

イジメによって心身ボロボロの状態になり学校に行けなくなった中学生の少女が難聴のスタッフが企画運営している「手話カフェ」に出会い前向きに生きられるようになった話です。

現状を知ったカフェの代表が職場体験をすすめ、イベント企画などを通じお客様と触れ合い生きがいを見つけ、現在は手話通訳士なることを夢見て努力されています。

 

いじめをする人間は共感力が低く相手の立場に立って考えることができず、人間である以上そのような人は絶対にいなくなりません。

被害にあう人間は真面目で心優しい人が多いと思います。

そして自分に自信がない方が多いです。

そんなことを何となく思い読んでいたのですが、服の力で困っている人を助けられるのではないか?という思いが頭に浮かびました。

 

服というものは自分に自信を与えてくれます。

内面は外見に表れ、外見は内面に影響を与えることが分かっています。

おしゃれなお客様は皆様自分を持っていて芯がある方が多い。

服のジャンルにより着る方の性格も変わりますが、ドレスアイテムを好まれる方はマナーを知り礼節を重んじる方が多いので特に合っているのではないか。

鬱や人間関係で社会が辛くなった人に服の素晴らしさ、おしゃれの楽しさを教えてあげることで自信がつき前向きに進んで行けるのではないか。

着飾り180度変わった自分の姿を目の当たりにすればきっと自信が湧いてくるはずです。

着こなしを勉強したり手持ちの服で色々考えるのもいいではないですか。

あくまではじめの一歩、ステップになればいいのですから。

 

 

 

 

 

 

Good fabrics.

同じような感性をお持ちのお客様とは他の部分でも通じる部分も多くお話ししていても楽しいですね。

服の系統やファッションセンスだけでなく、食べ物であったり美容であったり趣味であったり。

自分は食べ物に結構気をつかう方ですがもっと詳しく調べられているお客様がいて驚きました。

健康の為にも普段食べているものは本当に大事。

かっこいいおじいさんになる前に病気で寝たきりになっては意味がありません。

豆知識ですが河豚(ふぐ)って元々毒はないんです。

毒に耐性があり毒をもつ小さな餌を食べ、その食べた毒が凝縮されてふぐに蓄えられ身を守っているんです。

何が言いたいのかというと・・・私達が普段食べている物は間違いなく私達の血となり肉となっているということ。

でもたまにはポテトチップスを食べたくなるのです。

 

 

 

 

 

 

上質な服はいい仕立てといい生地から。

まぁ当たり前のことですね。

でも生地ブランドはたくさんありますが意外に使用している生地はみんな似たり寄ったりしている気がします。

 

先日世界トップサルトのひとつアルトリア・パニコがW.Billのシェットランドツイードでジャケットコートを仕立てた写真をアップしていました。

W.Billのシェットランドツイード、私も同じ生地のジャケットを持っていますが間違いない生地ですよね。

キープしている着分もパニコが仕立てていた生地とほぼ一緒のもの。

W.Billはイタリアでもイギリスでもトップサルトでは大体使われています。

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PORTER & HARDING、これも本当に素晴らしい品質。

サヴィルロウでは絶対定番であり、イタリアの一流サルトでもよく選ばれています。

PORTER & HARDINGのガンクラブチェックはもはや説明不要ですね。

ジェントルマンの証にもなる生地です。

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Gieves & HawkesやHuntsmanをはじめとした一流テーラーが集まるサヴィルロウではほとんどといっていい程Harrisons of EdinburghやSMITH WOOLLENSに上記の生地などLBDグループの生地ばかり。

とあるテーラーではそれらのバンチの奥にひっそりとLoro Pianaのバンチが置いてあり尋ねてみるとあまり使用していないとのこと。

ソリートの工房ではSMITH WOOLLENSなどが多かったとお聞きしました。

HOLLAND & SHERRYも人気ですね。

知り合いの職人がナポリで修行していた際、色々なサルトをまわってみるとほとんどCaccioppoliとARISTONのバンチしかなかったと言っていました。

 

イタリアでもイギリスでもそんなもので大体人気所は同じ。

何の基準で選ぶのかは分かりませんが自分達の仕立てにあったものを選んでいるのかもしれませんね※中には大人の事情で選んでいるものもあるそうですが

選ばれた生地はかなり品質の高いことは間違いありません。

 

日本はひとつのテーラーにかなりの種類のバンチを置いていることろも多いです。

贅沢ですね。

 

 

 

転換点なのか

歴史に名を遺すブランドはたくさんありますが、生地ブランドも同じく名門として長きにわたり愛される続ける企業がたくさんあります。

今有名な高級生地ブランドは創業100年以上とかもざらですからね。

ただ、未来永劫は続くことはありませんが。

中には時代の流れに取り残されたり、はたまた時代と適応or先取りし更なる飛躍を遂げたり。

 

今とある生地メーカーが気になっています。

(以前は?)エルメネジルドゼニア、ロロ・ピアーナ、チェルッティ、デルフィノと並びイタリア5大ミルと称されるカルロ・バルベラ。

仕立てる前の糸は緊張状態にあることに気づき、その緊張を解くという独自の工程を取り入れ最高級の生地を作り上げることに成功した名門です。

特に2代目のルチアーノ・バルベラ氏はまさにイタリアを代表するスーパーファッショニスタでクラシックなイタリアファッション界の中で最高の伊達男といわれています。

彼の哲学の中で「動きやすくなければエレガントとはいえない」という考えがありますが、当たり前なこととはいえ私も大いに共感している部分です。

多少減ってきたとはいえ細すぎるスーツや見栄えが良いだけのスーツが人気の昨今ですが、窮屈さがあったり不自然さが見えたりでエレガントに見えません。

第二の皮膚のように動きやすく自然で調和していることが大事だと思います。

 

話を戻しますが、現在カルロ・バルベラは3代目のコラード・バルベラ氏が経営を引き継いでいます。

最近業界のことをほぼすべて網羅している重鎮のような方と話をしていたのですが、最近のバルベラは生地よりもプレタに力を入れているとおっしゃられていました。

確かに最近はバルベラの生地の話題があまりありません。

当然ですが素材や技術の品質というのは日頃からの努力の賜物であり日々進化しているもの。

企業として生地部門にかける労力や資金を減らしたからといっていって即座に品質が落ちるというわけではありませんし、間違っても粗悪ということは絶対にありません。

もしかしたらプレタとしても成功するかもしれませんし、生地としても更に飛躍するかもしれない。

ただ名門として名を馳せるバルベラがどうなっていくか、行く末が気になっています。

革新か、それとも。

 

 

 

 

キュプラ裏地の品切れについて

 

現在オーダーの際にお選びいただけるキュプラ裏地の種類が大幅に少なくなっております。

国内のキュプラ裏地のほとんどすべてを国内の大手1社が生産しておりますが、昨年の2022年に生産工場が火事になり現在でもキュプラ裏地の供給が全く追いついていない状態です。

いままでは在庫分で対応しておりましたが、在庫生地分も品切れが続き大幅に数が少なくなっております。

ほとんど供給もされていない状態ですのでお選びいただける生地が少ない常態です。

お客様にはご迷惑おかけいたしますが何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

 

 

 

一人前の男を意味する!?ブートニエール

昨日は散々な目にあいました。

お昼ごろお客様との約束の為、最寄り駅の阪急線から電車に乗る予定だったのですが・・・直前に調べるとトラブルで電車が動いていない!

この1週間くらいですでに3回目ですよ。

阪急電鉄どうなってるのでしょうか。

仕方なく御堂筋で行くことにしたのですが、荷物が多すぎてバイクに乗せられません。

タクシーを呼ぼうとしたのですが到着時間を考えると間に合わなかったので、両手いっぱいに荷物を持ち大きなスーツケースを引っ張って、炎天下の中スーツ姿で江坂駅までの30分走りました。

到着した時にはお風呂に入ったかのように前身びしょ濡れでライトグレーのジャケットにも汗ジミだらけです。

革靴で無理して走ったので3か所も靴ずれの怪我をしてしまいました。

結局約束の時間には間に合って一安心でしたが、帰りも阪急線は復旧されておらずたくさんの学生さんも歩いて帰っていました。

気のせいかもしれませんが最近電車のトラブルが多い気がします。

利用する場合は早めにチェックして対策を考えておかなければいけませんね。

 

 

 

 

注文していたブートニエールが届きました。

水色と青の2色のフェルトで真ん中には白蝶貝。

爽やかで美しいでしょう。

水色のジャケットに付けるブートニエールが欲しかったので取り寄せました。

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色もピッタリですね。

いい感じです。

オフに着る場合はネクタイをしないのでVゾーンがどこか殺風景で寂しい感じになりがちです。

そのような時にチーフやブートニエールが重宝します。

一気に華やかになります。

ご存じのように、ブートニエールは男性が女性にプロポーズする際に花を贈り、OKならば女性が1輪の花を挿したことによる名残。

結婚式でも新郎が挿していたりフォーマルな側面もあり、ブートニエールを挿している男は一人前の男を意味する習慣もあったとか。

現在でもイギリスでは本物の花を挿すこともあり何ともエレガントです。

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こちらのブートニエール、南シナ海方面の母貝を使用し、ひとつひとつピンセットを用い人の手で作られていきます。

ご希望の方はご連絡ください※取り寄せの商品になります

1つ¥3500+tax(¥3850)

たまにブートニエールだけが目立っているのを見ることがありますが、いかにさり気なく着こなしとマッチさせられるかが大事かと思います。

どの色と組み合わせるか?

素材との相性は?

センスが出るアイテムです。

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すべての生地には個性がある

先日かなりスーツや生地に詳しいお客様からお問い合わせをいただきました。

世界的にも有名な英国高級生地メーカーの、とある生地を取り扱っていますか。というお問い合わせ。

何十年も昔、世界中で一世を風靡し、ジェームズボンドも使用した名作とよばれたシリーズで、形を変えながら継続しているものの当時のレシピの生地は生産されていないもの。

その復刻版的な謳い文句で発売された生地があるかというお問い合わせでした。

残念ながらそのシリーズは日本のとあるメーカーがオリジナルで制作したものなので当店では取り扱っていないのですが、面白い話だなと思ったので少し書かせていただきます。

 

当時の生地を再現しようと(思ったかどうかは分かりませんが)同じ素材の配合やレシピに近づけて織りあげるのですが、国産メーカーが日本の紡績工場に糸を作らせその糸を使って英国工場で織り上げるというもの。

それが復刻版として出来上がるわけなのですが、実際は当時の生地とはまったくの別物に仕上がります。

どちらがいいとかいう話ではなく、使っている素材は同じでも並べてみると違う生地が並んでいるといった感じでしょうか。

というのも、当時の糸を作り出していた英国の紡績メーカーが廃業してしまっているため、同じ風合いを出すことができないんです。

ちょっと糸が違うだけでそこまで変わるの?と思われる方がいらっしゃるかもわかりませんが、各メーカーそれぞれの特徴が出るので同じものを作るのは至難の業なんです。

 

紡績機にしても織機にしても元は専門メーカーから購入するので同じ機械を使用していることは普通にあるのですが、それを独自に研究して改造し自分達だけの生地を作るところに各ブランドの特徴が出てきます。

他社から真似されないために試行錯誤し、一流企業が作り出すその高い技術は門外不出なところが多い。

そのため廃業や倒産などの憂き目にあうとその技術が失われてしまい二度と再現できなくなることもあるのです。

 

 

いま私たちが来ている服地も将来無くなっている可能性が普通にあるということ。

仕立てたスーツが10年後いい感じに馴染み素晴らしいポテンシャルを発揮したとして、更に作りたいと思ってももうその生地は二度と手に入らない可能性もある。

地球規模の気候変動で素材の質も変わるかもしれませんし、まさに一期一会みたいなものだと思います。

気に入ったスーツは大切にケアし10年後20年後も着ていたいですね。