最近はファストファッションばかり着てファッションにあまり興味がない人も多いみたいです。
反面、若い人たちの中は縛られたくないというメッセージなのか、かなり奇抜な格好をする人もいますよね。
ファッションは自己を形成するひとつなので、やはりベースというか基本を忘れてはいけないと思います。
基本の着こなしをマスターしてこそ小技が活きる。
お客様とそんな話をしていると、ジャンニ・アニェッリ氏を思い出しました。
イタリアを代表する実業家にして、20世紀を象徴する洒落者と呼ばれた人物がジャンニ・アニェッリ氏です。
フィアットを率いたカリスマ経営者でありながら、その装いは世界中の男性たちの憧れであり、今なお「世界一のスタイルアイコン」として語り継がれています。
アニェッリ氏の着こなしは、クラシックなルールに基づきながらも、どこかに「崩し」や「遊び心」を加えるのが特徴でした。
たとえば、もはや確立されたスタイルである小剣を長めに結ぶネクタイ。
私もこの締め方が主流ですが、やってみると普通の結び方よりもバランスが良く思えてきます。
逆に短めに結び、剣先がベルト位置に届かないこともしばしばありました。
また結び目をわざとずらし、左右非対称に見せることで、堅苦しさのない粋な雰囲気を演出していました。
普通であればマナー違反とされることを、アニェッリ氏は洗練されたセンスで「美意識」に変えていたのです。
さらに有名なのは時計の着け方ですよね。
彼はロレックスやオーデマ・ピゲといった高級時計を、シャツではなくジャケットの袖口の上から巻いていました※シャツの上から巻いているのも有名ですね
カフスを隠すどころか、むしろ袖を無造作にかぶせることで「偶然見える」ように見せる。
これは誰にでも真似できるものではありませんが、アニェッリ氏の余裕と遊び心を象徴するスタイルといえるでしょう。
スーツに合わせる靴も独特でした。
伝統的なストレートチップではなく、スエードのハイカットブーツをさらりと履きこなす。
休日にはネクタイを外し、スカーフやアスコットタイを無造作に巻いて軽やかさを出す。
その全てが「規範を知り尽くしたうえで破る」という哲学に貫かれています。
基本をマスターせずに変わった着こなしをすると、ただの奇抜なおじさんになってしまいます(笑)
スーツもシンプルなネイビーやグレーが多く、ダブルブレステッドで柔らかい仕立てを好み、ツイードやフランネルなど季節感と質感を重視した素材選び。
靴はジョンロブなどのクラシックな英国ブランドを好み、足元にも品格と個性を宿らせて、クラシックな部分は王道な装い。
彼の装いから学べるのは、単なる型通りの正しさではなく、自分らしさをどう表現するかという視点です。
完璧なルールを守ることは大切ですが、その先にある“崩し”が、装いに個性と深みを与えます。
今から着こなしを覚えたい、おしゃれになりたい、と思うならまずは基本を着こなしを極めること。
そこから、自分らしいオシャレを楽しめばいいのです。
当店でも、お客様のライフスタイルやお好みに合わせて「自分らしい着こなし」をご提案しております。
ジャンニ・アニェッリのように、クラシックを尊重しながらも、自分だけのスタイルを見つけていただければと思います。