サスティナビリティを纏う

庭や家裏の傾斜に紫陽花の木があるのですがきれいな花を咲かせていてちょうど見頃です。

花瓶に入れて季節の花を楽しんでいます。

昔は紫っぽい色が多かった気がするのですが最近は色とりどりの花がありきれいです。

78

そういえば昔友人と熊野古道を歩き熊野那智大社に行ったとき境内にたくさんの紫陽花が咲いていてとてもきれいでした。

紫陽花祭りも行われているみたいですね。

紫陽花の季節が終わると本格的な夏ももうすぐです。

 

 

 

 

 

最近は有名生地メーカーの多くがサスティナビリティな生地の開発に力を入れています。

とくに有名なのがV.B.C.のH.O.P.E.。

「人々と環境がいかに寄り添うか」という意味を持ち、まさに自然と一体になって作り上げている生地です。

使用されている羊毛の羊は夏はアルプスの山岳地帯、涼しい季節はピエモンテ州の牧草地と地元の自然の中で放牧されています。

自然の中を歩き回り、人工的な光に囲まれず、抗生物質も必要としない本来あるべき状況化での飼育。

原毛の色はそのまま生かしており、染料を使用する場合は花、葉、根、果実、木の皮など自然の植物から抽出したもののみを使用。

その為色が均一にならない分自然な色に仕上がりすべてが違う仕上がりになります。

元々V.B.C.をはじめとする高級生地メーカーは自然環境保全への取り組みが世界でも最先端なのですが、更なる二酸化炭素の削減に成功しまさにサスティナビリティを体現している生地です。

896

もちろんサスティナビリティだけの生地ではなく品質も高く評価されています。

工房で実物を見たのですが一見すると華やかさやラグジュアリー感はありません。

ただ「あっ、いいジャケットだな」と感じるのです。

素朴という言葉がピッタリで、ヴィンテージやカントリーな雰囲気。

耐久性も抜群で修理しながら一生着たいと思わせてくれます。

本来あるべき姿。というより自然的なものを本能が欲するのかもしれませんね。

 

こちらの生地はヘンプ(麻)やコットンも使用した涼しげな生地。

清涼感もあり今からの季節にピッタリですよ。

 

 

 

安いには訳がある

海外などで大量生産されるあまりに安い商品にはどこかにシワ寄せがきているものが多いです。

安価で購入できるファストファッションなどでも同じような問題が起きています。

 

日本など先進国で安く売られている衣料品は中国の他、東南アジアを中心とした発展途上国で作られていますが非人道的といわれるほどかなり劣悪な環境で働かされているところが多く問題になっています。

2013年にバングラディシュで海外ブランドの縫製を行っていたビルが倒壊し数千人の被害者が出た大事故がニュースになりましたが、調査の結果かなりひどい状況だったことが明るみになりました。

そのビルは老朽化が著しく事故の前日に建物に大きな亀裂が入っていたそうです。

労働者が恐怖の為出社をこばむも強制的に出社命令が出され、その結果事故が起きたくさんの人が亡くなりました。

後遺症が残る人も大勢いましたが保証金も賠償金も支払われず今も苦しんでいる人がいます。

そもそもの労働環境が酷く、週7日出勤で休みなし、1日12時間以上の労働をほとんど休憩なし、更に深夜も強制に働かされることも多いにもかかわらず得られる賃金は恐ろしいほど安くまともな生活もできずスラムで生きていくのがやっとのほど。

上司からのパワハラセクハラも当たり前で逆らえば解雇されます。

国際的にも問題となりバングラディシュでは労働法も改正されましたがいまだに多くの工場が法律を守っていない状況です。

中国やカンボジアなど他の国でも同様な状況が起きています。

 

先進国の大企業があまりに低い価格を提示してくるため「そんな価格では作れない」というと「なら南アフリカやミャンマーの工場に切り替えてもいいんですよ」と圧力をかける為無理であろうが引き受けるしかない。

価格、納期、品質には厳しい注文を付けて企業は正当な代金を支払わない。

受注を受けないと工場が潰れてしまうが驚くほど低い請負価格では労働環境をよくることすらも不可能だと話します。

 

NGOなどが調査しようともほとんどの工場は高く厚い壁で囲われガードマンが在中し中に入ることができません。

そこで潜入調査を行った結果劣悪な環境が分かり始めてきました。

世界でも人気の日本最大のファストファッションブランドのY会長も委託工場の劣悪な労働環境を暴露され、「ブラック企業というのは間違い」と出版社を名誉棄損で訴えましたが事実と認められると上告を脚下されました。

この企業の内情も潜入調査や聞き取り調査で明らかにされたものです。

その後企業が改善報告をしたものの、フォローアップ調査の結果改善はされておらず、NGOなどからの公開質問状などにものらりくらりと逃げているような状況です。

 

 

そのように圧力をかけ他人から搾取することでしか利益を出せない企業は問題だと思いますが、その商品を安いからと何も考えず購入する私たちにも問題があると思います。

原材料はいくらだろう?輸送費は?工賃は?と考えればなんとなくのイメージくらいは見えるはず。

もちろん企業努力で頑張っているところも多くすべての安い商品や大量生産品が悪いわけではありません。

ただ購入するときになぜ安いのか。少しだけでも考える努力をするべきではないでしょうか。

 

 

20代の頃に児童労働の温床になっているカカオやコーヒー豆の栽培による南北格差問題を知り個人的にフェアトレードを応援してきたのですが、購入するものがどのような経緯でできたものなのかきちんと知ることが大事だと思います。

最近はスターバックスなど労働問題・自然環境問題に真摯に向き合い改善している素晴らしい企業もかなり増えてきました。

消費者には世界を変える力があり実際に大きな成果を上げています。

日本はこうした国際社会の流れの中でまだまだ遅れているといわれています。

日本企業の取り組みは国際的水準には程遠くマスコミの報道も少ない。

もっと関心を持つ人が増えれば日本でも社会を変えることができるのだと思います。

 

 

夏のジャケット

毎シーズンのようにスーツをお仕立てくださっていたお客様が事務所までご来店下さりスーツをオーダーくださいました。

「去年は来れなくてごめんね」と優しいお言葉をいただきましたが皆様コロナでそれどころではない状況なうえテレワークで出勤は週1以下、スーツだって傷むわけがありません。

それなのにお心遣いくださる優しさに感謝の気持ちでいっぱいになりもっと喜んでいただけるように頑張らなければと自分を奮い立たせる思いになりました。

自慢ではないですが当店のお客様はほぼ100%素晴らしい方ばかりです。

この業界はクセがある人が多く他のお店ではトラブルが起きることや無理難題を吹っ掛けられることが頻繁にあります。

うちではほぼありません。

先日もロシア問題などで入荷が大幅に遅れご迷惑をお掛けしたのですが優しいお言葉をかけてくださる方ばかりでした。

最近読んだ有名な実業家の著書の中に若い起業家との対話の中でのアドバイスに「君は服装で損している」と身だしなみへの言及がありました。

人は見た目が9割。

やはり身だしなみに気を使われる方と礼儀、マナー、寛大さ、気遣い、成功などは深いつながりがあるのだと感じます。

 

 

 

 

 

 

お客様のMTMジャケットが届きました。

ウール素材のシアサッカージャケットです。

やはりこの表情が最高ですね。

裏地は付けず夏らしく軽やかな仕立てで。

夏のイメージですが着れる時期も結構長いので活躍してくれるはずです。

丈夫でシワに強く持ち運びにも便利なのでシンプルな柄であれば出張などにもおすすめです。

先日私も両肩を合わせ裏にしてクルクルと軽く巻く感じでバックに入れて持ち運びましたがまったくシワにはなっていませんでした。

丈夫さというポイント、bespokeでは当たり前ですが結構大切なポイントです。

繊細で煌びやかなものも何点か持っておきたいものですが、長く着ることで馴染みこなれた感じで出る雰囲気はやはりいいものなので。

IMG20220605140407 (2)

ゴルフやオフの日のお出かけに人気のシアサッカージャケットですが最近はビジネスでも選ばれています。

夏の暑い日の高級ホテルやレストランで暑苦しくならないように。

リゾートスタイルも涼しげでいいですね。

ネイビーの他にライトカラーも人気が高いのでどちらにするか悩みそうです。

 

 

 

生地と仕立ての相性

YouTubeでワインに関する動画をみていたのですが、かなりのワイン通として有名な芸能人が「美味しいワインを飲んでいるからといってワインの事が分かるわけがないし、飲むときにそのワインの工程や素材、場所、生産者、歴史などを一緒に身体の中に入れていくから知識として入っていく」という趣旨の話をしていました。

他の事柄に対しても本当にそうですよね。

好奇心を持ち興味があって調べるからこそ本質が見えてくる。

好きこそものの上手なれです。

服に関しても高級ブランドを着ているからと言って服に着られている人もいれば、量販店の服を合わせてもこなれて着こなしている人もいるようなものでしょうか。

ちなみに日本酒やワインにはまり結構飲んできたのですが未だに超初心者の域を脱却できていない私です。

 

 

 

 

 

工房で話しているときに職人がよく「生地は皮膚、毛芯は筋肉」といった言い方をします。

スーツでは生地だけではペラペラな感じになってしまうので、シルエットを形成しコシを出し伸縮性が出てきれいなドレープを作るために芯材が必要です。

今流行りのシャツジャケットは芯をかなり薄くしたりあるいは省いたりして軽やかで動きやすく夏でも快適なジャケットとして作られているものが多いです。

要所に接着芯をうまく使用したり職人の技術できれいに仕上げたりと様々。

イタリアの有名サルトのジャケットで芯を抜いて高い技術のみで仕立てているものもあります。

そんなシャツジャケットには生地選びが重要になってきますがコシがあり伸縮性がある生地がおすすめ。

例えば4PLYのような生地。

強撚でコシが強く弾力もあり生地の特徴をいかせる感じです。

もちろんがっしりした生地以外は合わないわけではなく、リネンやホップサックでも軽さが目に見えて逆にいい感じになったものもありその生地ごと仕立てごとによってかわるので一概にどれがよいかは言えません。

ただ選んだ生地が仕立て方に合うか考えながら決めればよりいっそうイメージに近いものが出来上がるかと思います。

785